ＮＨＫが特集番組を組んでいた。よく見ていないので詳しくは不明だが、原爆を投下された広島でのこと。学徒動員されて軍関係の事務に就いていたという女性は、運よく軍の防空壕に退避して無傷だったが、広場で訓練していたクラスメイトは全員死亡。

　空襲警報が出されていれば、これほどの被害を出さなかったのでは、と今でも残念に思う。

　一方、参謀本部で情報関係のセクションにいた元少尉は上官が「我々の上げた情報が使われていない」と憤慨していた旨の証言をしていた。

　参謀本部から現地の司令部に情報が伝達されず、偵察機に続いていた爆撃機（原爆を搭載していた）の襲来を知らされていない。このため、空襲警報が発令されなかったからだ。

　必要な情報をどういう意図でか秘匿し、結果として国民の被害を多大なものにする。――この構図は66年経った今日でも生きている。

　最初から正確な情報を開示し、必要な指示を出していれば……。

　日本の支配層には、このような「国民を大事にしない」習性がこびりついているのであろう。福島原発でもこの習性が出た。

　繰り返される愚行は、もう勘弁して欲しい。

　これまでの政府の情報の出し方は、国民を見殺しにするだけの欺瞞に満ちたもの。この責任は大きいし、結果として『人類に対する犯罪』になる。